93 あやしいおじさん

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こんな事を言っても誰も信じてくれないと思うのだが。
ボクは昔「夢の住人」に会った事がある。
それは、中学生の時だった。
ある日、夢を見た。
内容までは忘れちゃったけど、とにかく、「あやしいおじさん」が出て来た。
絵本に出てくる様なシルクハットをかぶった、サーカスの団長みたいな人だった。
カイゼル髭を生やした時代はずれのそのおじさんは、朝起きた時にも鮮明に記憶に焼き付いていた。
その時は、なんかテレビに出て来た人とかが頭の片隅にあって、夢に出て来ちゃった、、、程度にしか思わなかった。
でも。
その日、チャリンコで隣町に買い物に行ったボクは、信じられない体験をした。
田舎町の一本道。その先に高速道路と平行の沿道がはしるT字路、、、
ちょうど舞台のソデの様に、上手と下手に大きな木があって、一本道からは、わずかにしかその沿道は見えない。
何気なくボクは前方を見ていた。
あと80メートル位で沿道へと出る、、、左に曲がれば隣町へと続く、、、
と、その時。
夢で見た「あやしいおじさん」が自転車に乗って横切った。
じーっとボクの方を見ていた。
ニコニコ、ピエロみたいに笑っていた。
明らかに周りの景色と異質な存在だった。
なぜか、怖いとは思わなかった。
スローモションのようだった。
おじさんはすぐに木の影に隠れ見えなくなってしまった。

その後、何日も、何週間も、あれは何だったのか?反芻した。
ボクの出した答えは「とんでもないものを見ちゃったんだろうな、、、」だった。
理解不能だった。

あの時、おじさんがポップコーンをくれると言ったら、きっとボクは着いて行ったと思う。


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